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![]() 第7回きらめき子育て賞 体験記部門 入賞作品10編 1. 親子の成長 影土井 洋治 金生 剛昌 紀村 修一 4. 障がい児の子育て 鴻野 享子 5. 「娘達の親育て」 笹川 めぐみ 6. ありがとう 清木 香奈枝 東山 敏忠 8. 恐怖のおむつ替え 中原 雄 9. 「愛情300%」 古屋 陽子 10. 仕事も好きだし、家庭も大事 横山 勝子 ※掲載は作者名五十音順
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にぎやか戦隊トウヤマジャー
嫁は僕より六才年下のかわいらしい女性である。ごく普通に恋愛をして、嫁が二十才の時に長女が生まれた。いわゆる、できちゃった婚というのであるが、今の世の中、それもごく普通でありめずらしくもない。
僕は一人っ子で兄弟はいなく、さみしかった。だから、子供は多くほしかった。 しかし、長女が生まれて数年後、嫁は、一度流産してしまった。僕も嫁も、かなり、へこんだ。しかし、悲しんでばかりはいられず、いつか、また長女に兄弟をと思いながら、家族三人で、旅行へ行ったり、休日には外食に行ったりと、まあ、そこそこ贅沢にのんびり暮らした。そして長女が年中の秋、嫁は二人目を妊娠した。今度こそは、無事、生ませてあげたく、僕は、すすんで家事をした。風呂掃除、長女の送り迎えに、食事作りなど、できる事は、すすんでやった。そして、翌年の夏、無事、長男が誕生した。長女も弟の誕生を喜び、よくお姉ちゃんらしく、世話をした。せわしくなったが、僕も長女、長男の世話をしたり、家事も変わらずやってのけた。 まあ、三人くらいは兄弟をと思っていた。二年後、次女の誕生だ。女の子らしく、目のくりくりした嫁似の子である。女の子なので、かん高い声でよく泣くが、長女を連れ、長男の手を引き、赤いおんぶひもに次女を背負い近所を散歩すると、みな笑顔になる。近所を散歩する人達も、僕達を見て笑顔になる。僕も幸せ気分である。 そして、次女が二才の時、嫁に、つわりの症状が…。四人目。まあ、でも、僕と嫁のところへきてくれた赤ちゃんだ。そして、無事、次男が誕生した。大きくて男らしい子である。前よりも、さらに僕のできる事が増えた。 食事作りに、ミルク作り、離乳食まで作れる様になってしまった。おむつ替えも、へっちゃらだ。子供が庭で遊ぶのでブランコを作りすべり台を置いた。庭の草むしりも僕の役目である。そして次男が一才前の夏。は…?つわり?え〜、まさかの五人目。で、春、三男の誕生である。 それから、僕の三百六十五日は、朝の目覚めと同時に子供で始まり、夜寝るまで子供で終わる。さらに、今年の四月。嫁が次女の通う幼稚園のPTA会長を引き受けて帰ってきた。 この忙しい毎日の中、僕の休日は、もうない。休日のたびに、役員で小・幼合同運動会の駐車場整理に、幼稚園役員会のミーティング参加。それに加えて、僕の仕事の休日は必ずと言っていいほど、下二人が熱だの、咳だのと病院通いだ。病院の先生にも顔を覚えられ、「お父さんがよく子供さんの体重を聞かれ、さっと答えられますね。」と誉められた。もう覚えるよね。毎回だもんな。次女の幼稚園の送迎に、長男のスポ少の送迎。長女の習い事を送り勉強を教える毎日。あっ、もう四月中旬だ。こいのぼり、武者幟三体たてなくちゃ。 もう、何年も行ってないよね。家族旅行。外食にも行きたいなー。「そんな贅沢な生活、しばらく無理」と嫁。 三男の泣き声と、次男のじだんだ。次女のかん高い笑い声。長男、長女のケンカの声。 わが家は、毎日、祭りのようだ。 家の周辺だけ、にぎやか五人組のスタバタする音と、嫁さんの子供を怒る声。ほんっと、にぎやか。…いや、やかましい。 でも、忙しくて僕の休日はないけど泣いて泣きやまず大変な時もあるけど、でも、それでも我が子は一番。我が子は宝。僕と嫁との五人の子供。にぎやか戦隊、トウヤマジャー。僕の大事な家族です。 |