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![]() 第6回きらめき子育て賞 体験記部門 入賞作品10編 1. ぐんぐん 相本 正美 2. 人生山あり谷あり 大塚 みどり 折本 洋子 4. ゆっくんがくれた世界 末森 理恵 5. 母ちゃんを楽しむ! 徳原 希 6. 三人目を出産して 原田 直子 7. イクメンパパの覚書 藤岡 道生 正木 啓一 9. たいよう 村上 善和 10. 晴(恥)れてお披露目 吉岡 秀夫 ※掲載は作者名五十音順
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ぐんぐん
保育学科の大学生の娘が、夏休みに保育園の実習に行った。子どもが大好きな娘は、実習での出来事を目を輝かせて話してくれた。子どもたちを見ていて思ったのだろう。娘は、
「お母さん、私が小さい頃ってどんな子どもだった。」と、聞いてきた。 「うーん、一言では言えないけれど……あっそうだ。」 私は、『ぐんぐん』というノートを取り出してきた。 娘は、幼稚園の年長になってもうまく発音できないことばがあった。先生がてんてい、ポップコーンがポッツポーンといった具合だ。(もう少しすれば……一年生になる頃には…皆と同じようにしゃべることができるようになる)と、私の親心はそうであった。しかし、年長の先生から、ことばの教室を紹介され、年長から小学四年生までの五年間、親子でことばの教室に通うこととなった。『ぐんぐん』というのは、ことばの教室に通った娘の五年間を、私、ことばの教室の先生、担任の先生で記録した育児日記のようなものだ。 娘と二人で『ぐんぐん』を読み始めた。 (ただ、ことばが遅い子だろうという感覚で数年間をすごしてきたことが悔やまれます。これから一歩一歩前進し、ああ良かったと思える日が来ることを信じたいと思います。) 一冊目、一番始めの私の欄には、こう記され五年が経っていくのだった。 年長の頃は、遊びの中で発音の練習をしたり、果物の種を出し舌を使う練習をし、小学生になると少しずつ遊びは減り、国語の音読中心の練習となっていった。 娘は、どうして私だけ違う教室に通わなければならないのかと反発した時もあったが、やさしい先生方のご指導により次第に自覚し始め、ことばを意識するようになっていった。 私と担任の先生の欄には、ことばの事以外にも日常生活のエピソードが記されていた。花火が怖くて年少の教室に逃げこんだこと。お姫様の出てくる絵本が大好きなこと。運動会や遠足のこと……そして、私の悩み、ぼやき、喜びまでしっかり書き込んであった。すっかり忘れていた出来事が走馬灯のようによみがえってきた。ページをめくる度、娘と笑ったり驚いたり感動したり、あっという間に時間が過ぎていった。 娘が大きく成長した大切な五年間を、親と先生たちの手でしっかりと残されている『ぐんぐん』、娘と私にとって大きな宝物だ。 娘は、あれから体もことばもぐんぐん育った。今は絵本を上手に読んで聞かせることのできる保育士をめざし、頑張っている毎日だ。 将来、保育士になった娘を先生方に見てもらい、(ああ、良かった)と、思いたい。それが私の今の願いだ。 |
